


「未知の不思議な世界への
視野を広げてくれた」
Vol.7
アニメーション監督
「3冊の本」
新海 誠 さん
ここちよく生きる。あなたが輝く。
ラインアート シャルマン 15 周年 特別インタビュー企画

かがやきに充ちている人の傍らには、きっと最高の相棒が存在します。
素晴らしい相棒と一体になった時、人はどこまでも輝ける。
ラインアート シャルマンも、人に寄り添い、その人をより輝かせる“相棒”でありたい。
さまざまな分野で活躍するプロフェッショナル15人のお話から
“相棒”との一体感がもたらす、かがやきの秘密を紐解きます。
かがやきに充ちている人、そのひとのそばには、きっと最高のバディ達がいます。最適な相棒と一体になった時、ひとはどこまでも輝ける。ラインアートの想いも、そこにあります。人によりそい、輝きを増したい。
様々な分野で活躍するプロフェッショナル15 人にお話を伺いながら、一体感がもたらす奇跡と、かがやきの秘密を紐解いていきます。
ここちよさと生きる。あなたが輝く。
ラインアート シャルマン 15 周年
特別インタビュー企画
Vol.7
アニメーション監督
「3冊の本」
新海 誠 さん

- 夢中になった アニメ、コンピュータ
新海誠さんの記憶の中にある一番古いアニメーション作品は、テレビで見た高畑勲監督の『赤毛のアン』だったという。
「その頃、母が読んでいた雑誌に、アニメーションはこういう風に作られていると解説した記事が載っていたんです。画用紙に絵の具で描かれた背景に、透明のセルロイドフィルムに描いたキャラクターを重ねて少しずつ絵を変えながら撮影して動かしていくという制作過程を知って、テレビで見ているアニメーションってこういう風にできているんだ、と、強烈に興味をかき立てられたのを覚えています」。
小学生の頃に夢中になったのはアニメーションだけではなかった。ちょうど任天堂からファミリーコンピュータが発売され、大ブームを巻き起こしていた時代。
「ファミコンは買ってもらえなかったのですが、家に今で言うパソコンがあったんです。当時は日本の家電メーカーがそれぞれ独自のコンピュータを開発・展開していて、家にあったのはシャープのMZシリーズという8ビットのものでした。今のようにインターネットでゲームをダウンロードしたりスマホで気軽に遊ぶことはできなかったので、当時たくさん刊行されていたゲーム雑誌を見ながら一生懸命プログラムを入力して、自分でゲームを作ったり、自分好みに改造して遊んでいました」。
手引きにしていたシャープのパソコンのマニュアルにも大きな影響を受けたという。
「まだ人がコンピュータを使って何ができるのかをメーカー側も使う側も模索していた時代。今のコンピュータや家電製品のマニュアルと違って絵が多く、初心者でも入りやすい作りだったのですが、最初に開いたページが、幼な心に強く響きました。“にんげんは昔から宇宙からの光が好きだった(中略)ギリシャ神話にでてくるあの若者も、そうやって宇宙海に広がる光の夢を織っていたのだ。やがて、彼は金羊毛を探して船出した。目ざすは未来……”という一文が、船のマークとともに記されていたのです。“あなたが手にとったこの本が未来につながっていますよ”というこのメッセージは名作としてマニアの間では知られ、このカタログは今もダウンロードして手に入れることができるそうですが、僕ももしかしたら金の羊を追って船に乗り未来を探すことができるかもしれない、と、コンピュータの無限の可能性を感じさせてくれました」。
- 仕事の傍らアニメーションを自主制作
現在では日本はもとより世界中にファンを持つ新海さんだが、学生時代に抱いていた将来の進路は、漠然としたものだったという。
「はっきりした夢や目標のない学生時代でしたね。ゲームのプログラミングは趣味でしたが、当時はそれを仕事にできるとは思っていませんでした。大学では児童文学研究会に入って好きな絵や物語をつくるのが楽しかったのですが、こちらも、自分がやりたいことをわかっていたわけではなかったです。周囲のみんなが就職活動を始めても、まだぼんやりしていたのですが、さすがに大学4年生になって慌てていくつかの会社を受けた中で、幸運なことにゲーム制作会社と出会ったんです」。
その出会いは、偶然。いつか家業を継ぐことを視野に建設会社の面接を受けた帰り道に、たまたまゲーム制作会社の看板を目にして、飛び込みで募集要項をもらい、就職試験を受けた。
「運よく採用されて、5年間夢中で働きました。僕が就職した1995年は、ちょうどWindows 95が発売されて世の中を変えた年。技術が日進月歩する中で新しいコンピュータやソフトウエアを使うことができる環境も魅力でした。ただ、そのうちゲームをつくる仕事だけだと何だか物足りないなと感じるようになって。その会社ではファンタジー系のロールプレイングゲームを主に制作していたのですが、毎日スーツを着て中央線に乗って通勤する自分自身の生活とゲーム作品の世界には距離がある。ファンタジーではなく電車とかコンビニとか、リアルな現代の日本の生活とともに物語を描きたいと考えるようになり、自宅でごく短いアニメをつくりはじめました」。
2000年にはアニメづくりに専念するため、ゲーム制作会社を退職。
「コンピュータ関連の産業が盛り上がっている時期でしたので、ここで失敗してもどこかで食べていくことはできるだろう、という気持ちでの独立でした」。
新海誠さんの“相棒”となっている3冊の本。上からアーサー・C・クラーク著『2010年宇宙の旅(英語版)』、A.L. グプティル著『ペンで描く』、シャープの『MZ-80マニュアル』。どの本も今でも時々、手に取ることがあるという。
今回着用した新海さんの私物のメガネは、ラ・カンパネラ コレクションのXL11001 BK。チタンを極限まで削り出した薄さと細さが特徴のラウンド型フレームで、繋ぎ目のないフロントデザインとマットブラックの質感が高級感を際立たせる取扱店舗限定商品。
- 3冊の本から広がった憧れの世界
その後の新海誠監督の活躍は、誰もが知るところだ。
「とはいえ、自分がプロのアニメーション監督だと実感するまでには、すごく長い時間がかかりました。『ほしのこえ』の頃はまだ、TVアニメでも劇場アニメでもなく、好きな動画を作った、という気分でいましたが、今の所属スタジオのコミックス・ウェーブ・フィルムの前身となる会社と出会い、だんだんスタッフが増えていく中で、一作ずつ少しずつ気持ちが変わっていきました。この仕事でやっていくのだという覚悟ができたのは、30代後半になった『星を追う子ども』の頃だったかもしれません」。
作品づくりにおいて影響を受けた数々の本の中でも、特に思い入れが深い3冊の本があるという。
「一冊目は、先ほどお話ししたシャープの『MZ-80マニュアル』です。『ペンで描く』は、文字通りペン画、スケッチの基本を記した技法書。主に風景画の教科書なのですが、同じ景色を描くにしてもどこに焦点を当てどんな濃淡をつけるか。世界というのは、描く人の気持ちによって見え方が変わるのだと中学生くらいの時に購入して衝撃を受けました。10代の頃はこの本の模写ばかりしていましたね」。
緻密でリアルな風景描写でも高い評価を得ている新海さんのアニメーション作品の原点は、この本にあったのかもしれない。
続く一冊は、『2010年宇宙の旅』。
「一般的にメジャーなのは同じアーサー・C・クラークの『2001年宇宙の旅』ですが、僕が好きだったのは続編のこちら。中学生の時に最初に日本語版で読んで、宇宙や星への憧れや高揚感をいつか自分でも表現したいと思うようになった一冊です。『秒速5センチメートル』の公開後に少しイギリスに留学したことがあるのですが、その時には英語版を購入し、作者がいる同じ国でこの本を読んでいるということに感慨を覚えていました。アーサー・C・クラークは僕の英国滞在中に亡くなったのですが、地下鉄の中で皆が国民的作家逝去のニュースを読んでいたことも記憶に刻まれています」。
新海誠さんにとって人生の折々に愛読書が影響を与えてきたように、メガネもまた、日々に寄り添ってきたパートナーだ。
「近視なので、高校生の頃からメガネをかけ始め、大学生くらいにはもう、毎日になくてはならない存在になりました。ものを細かく見ることが仕事の一部でもあるので、メガネはとにかく大事。ここ数年は遠近両用のレンズを入れて使っています」。


- メガネをかけたキャラクターは特別な存在
新海誠さんがシャルマン 銀座並木通りで購入したのは、ラインアート シャルマンの中でも特に職人技が光るラ・カンパネラ コレクションのメガネ。
「取材や舞台挨拶などで人前に立つ機会もあり、自分の印象が作品からあまり離れないようにしたいと考えてメガネを選んでいます。シャルマンのお店ではたくさんのフレームの中から、自分が思う作品や自分自身のトーンに近いフレームと出会うことができました」。
監督した作品にはメガネをかけた人物が登場することも。
「実は、アニメーションにメガネをかけたキャラクターを出すのは、ちょっと面倒なんです(笑)。顔の情報量がグッと増えますし、レンズを反射させるなど手間もかかるので、登場人物にメガネをかけさせる時は覚悟を決めてキャラクター設定をします。その分、思い入れもありますね。『すずめの戸締まり』の芹澤朋也のメガネは、ミステリアスな雰囲気を出すために淡い色の入ったレンズに。最終的には親友のことを心配するまじめでいい奴とわかる設定でしたので、フレームは丸にして彼の優しさを表現しました」。
ラインアート シャルマンは、独自の素材「エクセレンスチタン」によるバネ性と素材を活かす「レーザ微細接合」技術が最大の特徴。心地よいかけ心地と、身につける人の個性にフィットするメガネを、福井県の鯖江から世界に向けて発信し続けている。
「福井には、『君の名は。』が公開された頃に、音楽を手掛がけてくれたRADWIMPSのライブに行き、せっかくだからと地元の映画館で舞台挨拶も行ったことがあります。その時に映画館の方から鯖江製のメガネフレームをプレゼントしていただいたのですが、今思えば、あのメガネもシャルマンの製品だったのかもしれません」。
今は次回作に向けて準備中という新海さん。最後に、今後のビジョンを伺ってみた。
「毎回、目の前の作品のことでいっぱいいっぱいなので、“いつかこういうことをやりたい”というミッションや具体的な夢や目標はないのですが、かつて僕がお気に入りの本から未知の世界への憧れを抱いたように、映画を観てくれた方々に“世界にはこんな未知のことや秘密や驚異があるのだな”と感じていただけるような作品をつくり続けていきたいと思っています」。

新海さんにとって、3冊の本とは

新海さんにとっての愛読書が人生を、作品を、未来へと導いた“相棒”であるように、ラインアート シャルマンはこれからも、すべての人に寄り添い、その人生を輝かせるパートナーを目指していく。
Photos:Yoshihito Sasaguchi(SIGNO)
Hair&Make-up:Yuri Ikeda
Realization:Tomoko Shimizui
INFORMATION
新海誠さんが原作・脚本・監督をつとめ2022年に公開された『すずめの戸締まり』は、日本各地の廃墟に点在する災いの“扉”を閉めていく少女・すずめの成長を描くロードムービー。
Blu-rayスタンダード・エディション:5,500円(税込)
DVDスタンダード・エディション:4,400円(税込)
「すずめの戸締まり」
Blu-ray&DVD発売中
発売元:STORY inc./コミックス・ウェーブ・フィルム
販売元:東宝
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会

「すずめの戸締まり」
Blu-ray&DVD発売中
発売元:STORY inc./コミックス・ウェーブ・フィルム
販売元:東宝
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会

PROFILE
1973年長野県生まれ。アニメーション監督。ゲーム会社に勤める傍ら、2002年、個人制作のアニメーション『ほしのこえ』で商業デビュー。同作は数々の賞を受賞し、その後も2004 年に初の長編映画『雲のむこう、約束の場所』を、2007年に『秒速5センチメートル』を公開するなど、精力的に作品を発表。2016年公開の『君の名は。』は社会現象を巻き起こすほどの大ヒットを記録し、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』と、その圧倒的な映像美と繊細な心理描写は国内外で多くのファンを獲得している。
新海 誠
Makoto Shinkai
あわせて読む

ここちよく生きる。あなたが輝く。
人生。それは素晴らしい舞台。
時に絵のように、時に詩のように、
時に音楽のように。
豊かな彩りをもたらすのは
より心地よい日々。
15周年を迎えたラインアート シャルマンは、
これからも
いつまでもかけていたくなる心地よさと
一人ひとりを彩る美しさで
あなたの毎日を満たし、さらに輝かせます。

いつまでもかけていたくなる心地よさと、一人ひとりを彩る美しさで
あなたの毎日を満たし、さらに輝かせます。
ラインアート シャルマン 15 周年。